右の写真は、片マヒのため車イスの肘置きから手が滑り落ちて困る、という方からの依頼で製作したものです。
考えてみると、車イスの肘置きは、なぜあんなに幅が狭いのでしょうか。そこに肘を載せておこうとするだけで、無意識にでも腕や肩が緊張するだろうと思われます。
そこで、木で型を作り、その上にカーペット地を張って、写真のような肘置きを作りました。
肘を載せる部分は、内側に緩くカーブさせ、安定して肘を置けるようにしています。
完成後、依頼者から、ポシェットを車イスの背中のポケットに入れているのだが、孫に小遣いをやるときに困るから手元に置けないか、という相談がありました。そこで、オーダー製作した肘置きの先端部を削って、写真のようにポシェットを吊るせるようにしました。(背中のポケットって、本人には使えないものですよね。)
福祉用具は、まだまだ「作る側の論理」が先行し、「使う側の論理」にあまり目が向けられないように思います。
ただ、少しずつ変わってきているので、気がついたことは我慢しないで、どしどし声をあげるのが良いでしょう。
そうすれば、後に続く人の環境が少しずつでも良くなります。誰でもいずれは歳をとるわけですし、その一歩は、やがてみんなの幸せにつながっていきます。