ある頚椎損傷で四肢麻痺の方のために作ったベッド用テーブルです。
これを依頼されたAさんは、高校の体育祭の組体操で頚椎を損傷し、それ以降、寝たきりになられました。
しかし、才能と行動力に恵まれた方で、口で操作する車いすを操り映画館に行き、映画を観た後、家に帰ってから、口にくわえた棒でパソコンを叩いてその映画評を書き、さらにそれをネットで公開するような方でした。
今の時代は、パソコンとネットがあるため、障害者の方の世界が本当に広くなったと感じたものでした。とはいえ、気力がないとそれらの道具は意味がありません。
もう亡くなられましたが、頚椎損傷者の会のリーダーを務めるなど、その活動は広く力強いものでした。
そんな方が、一人暮らしに挑戦するということになり、その時に協力を求められて作ったのが、このテーブルです。
ベッドに座って、パソコン操作をしたり、色々なことができるテーブルを作って欲しいという依頼でした。ベッドの横から差し込み、ちょうど口にくわえた棒の部分にパソコン画面が来るように寸法取りしました。さらに、引き出し式のテーブルを作ったほか、柱の部分の裏に介護者が物を片付けられるようなスペースを作っています。
お亡くなりになられた後、このテーブルがどうなっているのか分かりませんが、もし誰かの役に立っていれば嬉しいところです。