SDGsと縄文時代 その5(豊かじゃないと続かない)


縄文人に対する私たちの考え方は、最近の発掘研究によってかなり覆されてきたようです。

穴を開けた動物の皮をかぶって、槍を持って動物を追いかけていた。栄養状態も悪く、貧しく、その日暮らしの毎日を送っていた、というような縄文人への思い込みを、私も持っていました。

ここに面白い調査データがあります。
狩猟採集民族であるアフリカのコイサン族(ブッシュマン)。環境歴史学者の石弘之氏によると彼らの暮らしは、、
 ・食べ物を手に入れるために必要な労働量は、平均して週に2日半程度。
 ・労働量は1年中ほぼ一定で、食料調達のために1日10キロ以上歩き回ることはまずない。
 ・女性は毎日1〜3時間働き、残りの時間は余暇を楽しんで暮らしている。
 ・男も1週間狩りをすれば、2〜3週間は何もせずに過ごす。
 ・グループの人口の約4割は、食料調達のための仕事を全くしていない。
 ・彼らの栄養状態は、私たちの食事と比べてなんら遜色がない。
 ・カロリー摂取量は必要レベルを上回っているし、蛋白質摂取量は必要量より約3割多い。
                    『火山噴火・動物虐殺・人口爆発』(洋泉社歴史新書)

ブッシュマンと縄文人とが全く同じとは言えないでしょうが、参考にはなります。
それにしても、今の私たちは、あまりに働きすぎだと思いませんか?

苦しくて不安な暮らしが、一万年を超えて続くはずがありません。
四季と自然に恵まれた日本列島の中で、彼らは、私たちが考えているよりも、より豊かに暮らしていたのかもしれません。その中で、あのような美しい土器や、表情豊かな土偶が作られていった、と考えると合点がいきます。

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