この事例は、私が現場仕事として一番心に残っているものです。
ある作業療法士さんからの相談でした。
小学4年生の下肢全廃の女の子で、両親が仕事に出ている間、おばあちゃんと家に二人でいるが、部屋の中では、這って動いているとのこと。おばあちゃんの力を借りずに、車いすに自分で乗り込めないか、ということでした。
そこで、作業療法士さんと二人でいろいろと相談し、手の力は強いということで、後ろ向きに手で身体を持ち上げる階段を考えました。
上の写真がその完成形ですが、ここに至るまでに、階段の広さや高さ、滑り落ちない工夫(透明テープを段鼻に貼っています)、握り手の太さ、段鼻の形状、などいろいろと試行錯誤をしました(2枚目の写真)。
自分で車いすまで、身体を持ち上げることができたときの彼女の顔が忘れられず、今日までこの仕事をしてきているような気がします。
このプッシュアップ台は、便器に上がる台や、大人の男性用のものなど、これまで複数台、製作してきています。
自治体にもよりますが、障害福祉の日常生活用具での補助金が使えるケースがあります。