定年ではないのですが、足の怪我で完全自粛の毎日です。
家にいる時間が非常に長くなって思うことは、「アウトプット」がガクンと減って、「インプット」がグッと増えた、ということです。
考えてみると、仕事の大半はアウトプットです。話すこと、書くこと、発信すること等々。
定年後は、見る(観る)こと、聞く(聴く)こと、読むことなど、インプットの割合が圧倒的に多くなります。入力ばかりで出力をしないと、当然、人間の身体には様々なストレスが溜まってくるでしょう。
夏目漱石が家で鬱状態でいるのを、妻が心配して高浜虚子に相談したそうです。虚子は漱石に、自分が発行している雑誌「ホトトギス」に小説を書くことを勧めました。そこで書かれたのが『吾輩は猫である』です。
その後、彼はせきを切ったように、溜まったものを吐き出し続けました。文豪の誕生です。「書く」というアウトプットが、漱石にとっては相性が最良だったのだと思われます。
勤務をしているときはアウトプット過多で、疲れが溜まることも多かったでしょう。定年後こそ、アウトプットとインプットのバランスをとる最良の機会のように思います。
自然に減ってしまうアウトプットを、意識的に増やしていくのが良いと思われますが、問題はそのやり方です。
趣味、作業、料理、ボランティア、交流などいろいろありますが、「書く」というアウトプットは、ネットの時代にはとても容易になりました。一番身近で簡便なアウトプットのように思います。