手すりは、大きく分けて次の二つの種類があります。
①転ぶ前に付ける手すり
②転んだ後に付ける手すり
前者は、転んで怪我をしないようにすることが目的です。後者は、動きにくくなった身体の動きをサポートすることが目的になります。
20年間、手すりを取り付ける仕事をしてきて、その9割以上が②の手すりだったように思います。
介護保険を使えば、手すりを割安(1割)で取り付けることができますが、①の転ぶ前の手すりには原則適用されません。そのため、福祉用具業者が取り付ける手すりの、ほとんどが②になるのだと考えられます。
1本の手すりが無かったために、転倒して怪我をし、それがもとで寝たきりになる方が多くおられます。寝たきりになると、本人だけでなく、その家族の人生も変わってきます。
ですから、1本の手すりの持つ意味という点では、①の手すり、いわば『転ばぬ先の手すり』の方がずっと大きいのではないかと思うのです。
高齢になると「転倒だけはしないように…」とよく言われますが、現場にいたものとしては、たくさんの例を見てきてその意味がよく分かります。しかし、残念なことにフレイルの方々には、「転ばぬ先の手すり」の重要性に気がつきにくいように思われます。